増配銘柄投資に脚光

投資のヒント

2022年の株式相場は、3月に入ってウクライナ情勢や資源高、急激な円安の進行など様々な要因が重なって、ますます不透明感が強まっている。
そんな中で、株式配当に注目した投資が改めて見直されているようだ。

日本経済新聞3/19付朝刊では、「配当増額、4社に1社」という見出しで、2022年3月期の配当予想を期初の計画から引き上げた上場企業が25%にのぼることを報じている。
配当総額は、3年ぶりに過去最高を更新するそうだ。

日経ヴェリタス3/20号でも「有事に揺るがぬ『連続力』 増配・増益・増収の安定銘柄」というタイトルの巻頭特集の中で、連続増配を続ける企業などを取り上げた。

株価が不安定であり、時に暴落する状況下で、株主還元を重視して増配を続ける企業に着目する投資家が増えている、ということの現れなのだろう。
私が投資を始めた2010年頃には、株式配当をメインに投資先を選定する人を「そんな低いリターンで満足するなんて、バカなの?」と嘲笑していた個人投資家が少なくなかったことを考えると、隔世の感がある。
株主還元の強化という大きな潮流を受けて、配当投資は立派な投資手法として認知されるようになったのだ。

本サイトでは、ちょうど1年前に「長期投資における増配継続銘柄の魅力」という記事を投稿した。
イケイケの上昇相場が遠のいた今、配当に着目した長期投資はますます有効性が高まってきたように思う。

前述の記事では、保有銘柄の中から増配企業の事例としてアルプス技研を取り上げたが、それ以外にも大きな成果を上げた銘柄はいくつも存在する。

今回もその一つを紹介しよう。
東証1部上場の兼松エレクトロニクスだ。

同社は、老舗総合商社兼松の連結子会社で、企業の情報システムの設計・構築・導入から運用・保守まで、トータルにサポートを提供するITベンダーである。
DX投資の活発化で業績は好調であり、会社四季報の最新版によれば、「リモートワーク定着背景に主力の仮想デスクトップが高成長。期末に短納期案件多い。23年3月期は強みの大手製造業に加えて金融、公共等の需要も旺盛。強化中のセキュリティサポートも好伸。連続最高純益。」とのことだ。

株主還元にも積極的で、配当性向は50%以上を目標とすることを中期経営計画で明言している。
2011/3期以降減配は1度もなく、2022/3期は2011/3期の約3.6倍を超える1株当たり年間145円の配当を予定している。

兼松エレクトロニクスは、普通に今買っても配当利回りは3.7%前後ある高配当株だが、さらに継続的な増配の魅力が加わるので、長期保有にはうってつけの銘柄だと感じている。

こうした安定増配銘柄を探し出して保有し、時間をかけてじっくりと成果を上げることは、なかなか楽しい。
長期投資の醍醐味の一つだといえるだろう。