おすすめの書籍

2020-09-21

当サイトでは、決算書の見方や財務分析に関する入門的な解説は行わない方針である。
本屋に行けば、そうしたテーマの書籍はそれこそ数え切れないほど並べられており、それぞれの著者が工夫をこらして、わかりやすく解説してくれている。
読者自身が書店に行って、何冊か手にとってパラパラと内容を見た上で、気に入った本をじっくり読んでもらえればいい。

ただ、それで終わらせるのも不親切なので、私が実際に読んだ本の中から、これは良かったなと言えるものをピックアップしてみた。
あくまで、私が読んだ範囲で自分の好みで選んだ話なので、選択の参考にする程度で考えてほしい。

入門者向けとしては・・・

佐伯良隆 『会計超入門! 知識ゼロでも2時間で決算書が読めるようになる! 改訂版』
(高橋書店,2018年1月)
会計の予備知識なしでもわかりやすくするため、「決算書を人の身体にたとえる」などの方法で平易に解説している。
例えば、「損益計算書=運動成績表」とか、「キャッシュフロー=会社の血流」といった具合だ。
図解もふんだんに盛り込まれており、初心者でも抵抗感なく読み通せる。
決算書分析の基本はしっかりおさえているので、最初の一冊としてオススメできる。
同じ著者が書いた『100分でわかる! 決算書「分析」超入門』(朝日新聞出版)もあり、こちらは実例を入れ替えた改訂版が毎年出ているようだ。

村上裕太郎 『なぜ、会計嫌いのあいつが会社の数字に強くなった?』
(東洋経済新報社,2016年2月)
細かい数字にこだわらず、比例縮尺財務諸表を使ってざっくりと視覚的に財務諸表を作り直すことにより、経営と会計の結びつきを明らかにしている。
巻末には、Excelを使った比例縮尺財務諸表の作り方も紹介されているので便利。
B/SやP/Lの数字を図解化して、イメージで理解するということは、熟練したプロなら自然と頭の中でやっていることだ。
初心者でも、それをノウハウとして身につけられる。
また、有名企業を題材にした実践的な決算分析は、中級者でも大変参考になるだろう。
個人的には、「コンビニオーナーの憂鬱」がコンビニチェーンの暗部を鋭く指摘していて、興味深く読んだ。

池田陽介 『数字で読みとく会社の未来』
(ビジネス社,2019年4月)
有価証券報告書から何がわかるかを、著名な企業を題材に解説してくれる。
財務諸表のことだけでなく、研究開発費、設備投資額、従業員の平均給与・平均年齢・平均勤続年数など、有価証券報告書に記載されている細かい項目まで取り上げている点がユニークだ。
私自身、「へー、そんなことがわかるの?」と思わず口に出してしまうことがあった。
さまざまな話題をアラカルト的に取り上げているので、時間が空いた時に気軽に読める。

さらに深めたい人には・・・

ダイヤモンド社 週刊ダイヤモンド2018年8月11・18日合併特大号 『決算書100本ノック2018年版』
ダイヤモンド社 週刊ダイヤモンド2019年8月24日号 『決算書100本ノック2019年版』

経済誌はしばしば決算書をテーマにした特集をやるので、要注目だ。
経理畑の人だけでなく、一般的なビジネスマンも読者として想定しているだけに、図解を駆使し、難しいことも噛み砕いて説明してくれる。
中でも、週刊ダイヤモンドは熱心で、毎年8月に「決算書100本ノック」の特集を組んでいる。
「決算書100本ノック」は、決算書の基礎だけでなく、個別の会社の深堀りや業界別の注目点まで取り扱っているので、読み応えがある。

大津広一
『ビジネススクールで身につける会計と戦略思考力 新版』

(日本経済新聞出版社,2013年10月)
『ビジネススクールで身につける会計と戦略思考力 ビジネスモデル編』

(日本経済新聞出版社,2014年10月)
両方とも日経ビジネス人文庫から出ているので、手軽に持ち運べる。
大津氏は、会計と経営戦略を一体的に理解するための指導本で、先駆者ともいうべき人だ。
その手法は、当サイトのお手本として参考にさせてもらっている。
前者では、「なぜそうした数値なのか?(WHY)」と「そこから何が言えるのか?(SO WHAT)」を常に問いかけながら、財務諸表を読むことを体験できる。
後者では、例えば「三越伊勢丹vsユニクロvsしまむら」のように、決算書を使って具体的な会社比較を行い、それぞれのビジネスモデルの類似点・相違点を会計面から浮き彫りにしている。

吉田有輝
『決算書の読み方 最強の教科書 決算情報からファクトを掴む技術』
(ソシム,2020年8月)

実在する企業の決算書を題材に、数字の裏に隠されたストーリーを探りに行くというスタンスで、決算書を読み解く技術を教えてくれる。
まさに、当サイトと同じ趣旨で書かれた書籍で、今後参考にさせてもらいたい点が豊富にあった。
なかでも筆者が面白かったのは、「第3章 BSから事業の特性を探り出す」である。
メルカリが赤字が続いていても勝負を続けられるのはなぜか、というテーマを立て、キャッシュの増減をベースにした分析を披露し、腑に落ちる説明をされている。
赤字が続いているのにメルカリの株価が容易に下がらないのは、こういう見方があるからなのかと納得した。
基礎知識がしっかりないと理解が難しいかもしれないが、非常に実践的なので、中級以上の個人投資家におすすめだ。

Posted by Uranus