意外な副業(その4)~ノエビアホールディングス

ビジネスモデル

時折、上場企業が本業とあまり関係がありそうにない意外な事業を営んでいる事実を発見することがある。
当シリーズではそんな事例をご紹介する。
4回目は株式会社ノエビアホールディングス。

ノエビアといえば、言うまでもなく大手化粧品メーカーである。
基幹商品は、対面販売を基礎とした高級基礎化粧品だ。
販売網として「ノエビア ビューティスタジオ」を全国で約2000店舗ほど展開している。

のど飴・栄養ドリンク・置き薬を製造

化粧品に次ぐ事業の柱が、実は医薬・食品事業である。
同事業は、連結子会社である常盤薬品工業が中心となって事業展開されている。

常盤薬品工業は神戸市に本社を置くメーカーで、設立は1952年だから、今年で70年の歴史をもつ企業だ。
関西では、栄養ドリンクなどを店頭でよく見かけるメーカーだったので、そこそこ知名度があったように思う。

ノエビアが同社を2002年に買収し、グループ入りした。
買収した狙いは、化粧品事業以外の分野に多角化したかったためだろう。

現在の常盤薬品工業の製品で有名なのは「南天のど飴」である。
以前はテレビコマーシャルを頻繁にやっていたので、ご記憶の方もいらっしゃるのではないか。
南天のど飴は単なるお菓子ではなく、第3類医薬品になり、効果・効能をしっかり謳っている。
したがって、のど飴の中ではブランド力が高い商品だと思われる。

もう一つ、常盤薬品工業が昔から得意としていた栄養ドリンク分野で「眠眠打破」も挙げられる。
発売はノエビアの傘下に入る以前の1997年に遡る。
こちらも、たしかコマーシャルをやっていたはずだ。

これ以外に、創業以来手掛けている事業として、置き薬の製造がある。
医薬品メーカーとしての実績も確かなのだ。

なお、ノエビアグループ入りしてから、ノエビアブランドとは別の化粧品を同社が製造するようにもなっている。

化粧品事業を補う安定収益源

医薬・食品事業の2021/9期売上高は111億円、セグメント利益が14億円ほどになる。
連結売上高全体に占める割合は21.7%もあり、決して軽い位置付けではない。

2021/9期はドリンク類が低調で減収だったが、栄養補助食品が好調で14.3%の増益となった。
化粧品事業の利益はほぼ横ばいだったが、それを補う役割を果たした。

コロナ禍で外出機会が減り、化粧品業界に逆風が吹く期間が長引いていただけに、医薬・食品事業の存在はノエビアにとって心強かったはずだ。
爆発的な成長は望めないが、安定した収益源として、今後も重宝されていくことだろう。

ノエビア

Posted by Uranus