能登半島地震は株価にどう影響したのか

投資のヒント

今年は元日から能登半島地震によって騒然とした幕開けとなった。
被害の規模は予想以上に大きく、1か月以上たった今も、全容はまだ明らかになっていない。

このような災害が勃発した場合、株式市場はどう反応するか?
東日本大震災のときは、当初大きな下落に見舞われたが、今回は市場全体に大きく影響することはなかったようにみえる。
ご存じのように、日経平均株価はむしろ好調を持続し、2/16には終値でバブル期以来の3万8千円台へと上昇した。

これは、買いを主導する外国人投資家が、能登半島地震は局所的な問題で日本経済全体に与える影響は大きくない、と捉えているためではないかと考えられる。

とはいえ、個別株においては、地震が起きた影響で株価が大きく変動したところは結構ある。
いわゆる「防災関連」の銘柄は、その代表格だろう。
復興需要による業績向上を予想し、めざとく投資に走る人が多いためだ。

その事例をいくつか取り上げてみよう。

まずは、飛島建設。
土木事業が主力で、高速道路やトンネルなど全国のインフラ建設に関わっている老舗企業だ。
会社四季報には「防災関連にも強み」との記述がある。

株価チャートをみると、案の定、1/4から株価が大きく上昇している。

飛島建設の株価チャート(日足・2024.2.21現在)

昨年末は1300円そこそこだったが、年明けから1400円台に乗り、一時1500円を上回った。
言うまでもなく、能登半島地震の復興工事需要を期待した動きだろう。
もっとも、上昇のエネルギーは萎みつつあるようだ。

次に、地盤補強材などの防災用建築土木資材の大手、前田工繊。

前田工繊の株価チャート(日足・2024.2.21現在)

やはり1/4から株価が急騰し、その後いったん落ち着いたものの、2月中旬に再び大きく上昇している。
2月の再上昇は、2/14に発表された2024/6期第2四半期までの業績が前年同期比で大幅な増収増益だったためとみられる。

3社目は、法面・地盤改良工事を主力事業とするライト工業。
こちらも1/4からあっという間に急騰した。

ライト工業の株価チャート(日足・2024.2.21現在)

ただし、1月後半から下落に転じた後、前2社と違い2月に入るとさらに大きく値を下げて、急騰前とほぼ同水準まで戻ってしまった。
どうやら、2/7に発表された2024/3期第3四半期決算短信で、経常利益の前年同期比▲10.6%減など芳しくない業績が投資家に嫌気されたようだ。

このように、防災関連銘柄と一口に言っても、株価が同じように動くわけではないことがわかる。
地震を材料に株価が急騰しても、現段階ではあくまで期待に過ぎず、業績の裏付けがない株価上昇は長続きするものではないのだ。
前田工繊の株価が上がっているのも、業績が好調だからこそである。

こういう短期的な株価変動に乗るのは、高値づかみのリスクが大きい。
上の事例でも、前田工繊以外は、1/4からの数日に購入してすぐに売却するのでなければ、大きな儲けを上げることはできない。
よほど逃げ上手な投資家しか参加するべきではないだろう。