意外な副業(その3)~ユニ・チャーム

ビジネスモデル

時折、上場企業が本業とあまり関係がありそうにない意外な事業を営んでいる事実を発見することがある。
そんな事例をご紹介するこのシリーズ、3回目はユニ・チャーム株式会社。

ペットケア用品でもトップメーカー

ユニ・チャームは、言わずと知れた生理用品のグローバルカンパニーだ。
紙おむつでも国内トップシェアを誇っている。
グループ連結売上高は7,275億円(2020年12月期)に上る。

そんな同社が、ペットケア用品の製造販売を手掛けていることはご存じだろうか?

ペットケア事業への参入は、犬用のドライフード「フレッシー愛犬元気」を発売した1986年にまで遡る。
もう、35年の歴史をもっているわけだ。

現在では、ペットフードとペット用トイレタリー(防臭シート、マナーウェアなど)を柱として事業を展開している。
いずれも、国内市場でトップシェアを有している。
さらに、国内市場だけでなく、2011年に米国企業を買収して北米市場にも進出した。

なぜ、ペットケア事業に参入したのだろうか?

1980年代、ユニ・チャームは事業の多角化を模索していた。
国内の人口減少と市場の成熟化を予見し、生理用品に次ぐ事業の柱を作る必要を感じていたからだ。
紙おむつなどのベビーケア市場に参入したのは1981年である。
それ以外にも、結婚情報サービス、幼児教育、果てはリゾート事業にまで手を広げた。

その中で、ペットケア市場も浮上してきた。
購買層の7割が主婦であり、生理用品や紙おむつの消費者と重なること、流通チャネルも既存ルートを活用できることが理由のようだ(牧田幸裕「ケースメソッドMBA実況中継01 経営戦略とマーケティング」2020年)。
また、ペット用トイレタリーには、生理用品で培った不織布・吸収体の製造技術が応用できることも理由の一つだろう。

事業立ち上げ後の数年間は赤字続きで相当苦労したようだが、ペット市場の拡大とともに着実に成長を遂げ、M&Aも行って、トップメーカーへと飛躍することができたのだった。

セグメント業績は好調

2020年12月期は、新型コロナ感染拡大の影響で人々が自宅にいる機会が多くなったため、ペットとの触れ合いが増え、ペット関連用品が大いに売れた。
特に、猫用のフード、トイレタリーが好調だったという。

グループ全体からみれば、ペットケア事業の売上高(2020年12月期)は13.2%を占めるにすぎない。

しかし、増収増益が続いており、売上高の2016年・2020年対比では、主力のパーソナルケア事業を上回る伸びを示している。
人口減少でパーソナルケア事業の国内市場が低成長になることは間違いないから、ペットケア事業は成長の牽引車として期待されているだろう。

ペットでも高齢化の進展がよく言われるが、その関連でペット用の健康フードや排泄ケア関連用品に対する需要は、今後ますます高まることが予測される。

こうした分野、特に排泄ケアなどは当社の得意とする領域だから、当分は安定した成長が望めそうだ。

ユニ・チャーム

Posted by Uranus