日経平均株価予想は気にしない
年末年始は、新年の日経平均株価の予想に関する記事を各種メディアが掲載することが恒例である。
2021年についても色々な予想が発表されているが、概ね堅調な推移を予想する意見が支配的なようだ。
こうした予想内容を気にする個人投資家も結構多いようだが、筆者の場合、日経平均株価の予想記事はほとんど関心がない。
「どうせ、予想通り動くことはない」と思っているからだ。
例えば、日経電子版に2019年12月20日付で掲載された「プロに聞く20年の日経平均予想」という記事を読むと、株式関係者57人の2020年末の日経平均株価の予想は、上は3万円、下は1万4000円まで大きく分かれていて、2万7000円台が最多の10人、とある。
最高値と最低値に2倍以上も開きがあること自体驚きを禁じえないが、正解の2万7444円17銭から大きくかけ離れている人が47人、全体の8割以上もいるということなのだ。
ダイヤモンド・ザイ2020年2月号に掲載された、アナリスト100人の日経平均株価予測でも、年間を通した高値の予測平均は2万5600円だった。
これまた実際より2000円近くも低く、大外れだ。
読者には、昨年はコロナ禍というイレギュラーな出来事があったのだから仕方ない、という意見をお持ちの方もいらっしゃるだろう。
だが、日経電子版2020年12月7日付日経平均株価年末予想の記事でも、機関投資家ら130人の予想平均は2万6532円だった。
1ヵ月先の株価すら全然当たらないのだから、まったく頼りにならないことが明白だろう。
予想を鵜呑みにして動くと、大怪我をしかねない。
これだけ予想を外していても、アナリスト当人がなぜ外したかを反省しているとか、投資家に謝罪したとかいう話はほとんど聞かない。
まあ、日経平均株価予想とは競馬のレース予想みたいなもので、あくまで一つの意見に過ぎないということなのだろう。
それをどう受け止めて、どの馬券を買うかは、自己責任の世界なのである。
昨年、ほぼ的中に近い予想をした、マネックス証券の広木隆氏も、ご自身の配信動画の中で「株価予想は、聞かれるから仕方なく答えているだけで、本当は未来のことなど誰もわかるはずがない」と度々おっしゃっている。
たまに、著者が日経平均予想を的中させたことを売り文句にした書籍を出版するのを見かけるが、何回中何回的中したのかが、さっぱりわからないケースがほとんどだ。
それに、常に強気、あるいは常に弱気の予想をする人は、ずっと続けていれば、いずれは当たることになるから、的中させたことが偉いわけでもなんでもない。
重要なのは、打率がどうなのかという話なのだ。
プロでも未来の株価を予想することは困難であるが、個別の企業の業績が中長期的にどういう方向に動きそうかは、素人でもじっくり研究すればある程度予測できる。
そして、短期的には需給によって動く株価も、中長期的には業績に連動することが期待できる。
筆者はそう考えて、国内株については、インデックス投資から個別株の中長期投資に切り替えた。
もちろん、業績の予測も100%当てることはまずできないが、少なくとも株価を予想することに比べれば、まだ何かやりようがありそうだ、と考えている。