株価暴落はバーゲンセール
株式市場にとって、2020年は例年にも増して激動の年だった。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で、2月から3月は株価が大暴落した。
日経平均株価でみると、2月初旬の24,000円近くの水準から、3月半ばには安値16,000円台へと、わずか1か月半で下落率は30%を超えた。
ところが、3月後半以降は反転し、当面は達成できないと思われた24,000円を11月にあっさりと超え、年末には30年ぶりの高値27,602円52銭まで上昇した。
暴落があった時点で、誰がこんな展開を予測しただろう。
まるで、コロナ禍がなかったかのように、11月以降は上昇に拍車がかかっている。
タイムマシンに乗って3月まで戻り、市場関係者に「心配いりません、年末には日経平均が30年ぶりの高値になりますから」と言っても、「なに、寝言を言ってるんだ」と一笑に付されることは間違いない。
こうなると、3月の株価暴落は、何年かに一回の大バーゲンセールだったことが明らかだ。
今年、株式投資で好成績を上げられたかどうかは、この3月にどれだけ株を買えたかによって決まる、と言っても過言ではないだろうう。
逆に、暴落が怖くなって株を手放し、そのまま傍観していた人は、損失を被っただけで終わったことになる。
そう、「暴落こそが、多大な投資収益を生み出すビッグチャンスである」という事実が、今回も繰り返されたのである。
リーマンショックのときも、東日本大震災のときも、市場で株価が暴落しているときに果敢に買うことができた者が勝者だった。
それがわかっていながら、恐る恐るにしか買えなかったことには悔いが残る。
不動産リートなどは、ありえない安値で売りに出されていたのに、「まだ下落するかも」と慎重になり、十分な額を買うことができなかった。
筆者の今年の反省は、これに尽きる。
結局、投資の成功の鍵は、みんなが冷静さを失ってパニック的な行動を取るときに、逆の行動をとれる“勇気”と“忍耐力”にあると思う。
人と逆のことをするには、“勇気”がいる。
誰も買おうとしない局面で買い、誰もが買う熱狂状態だとみれば売る。
それをできるか?
そして、そのようなチャンスが訪れるまで、じっと待つことができる“忍耐力”。
これもなかなか難しい。
上昇相場では、乗り遅れまいと資金余力いっぱいまで株を買いたくなるのが人情だが、そこでグッとこらえて下落を待つことができるか?
下落相場では、すぐにでも手持ち株を全部売却して損失の拡大を防ぎたいが、そこで我慢して市場に居続けることができるか?
筆者には、現在の株価はかなり異常な高値水準にあるように見え、不気味な感じがしている。
遠からず下落局面が来るという予想も、あながち的外れではないように思う。
忍耐力が試されていると考え、しばらくは慎重に行動したい。